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投稿日 : 2023年9月7日 最終更新日時 : 2023年09月08日

【コラム】デュー・ディリジェンスと実務上の留意点

一般的に、M&Aでは売り手より開示された情報が正しいことを前提として検討が進められますが、買い手が最終的な決断を下すためには広範な調査と情報収集が必要になります(デュー・ディリジェンス)。デュー・ディリジェンスには専門的な部分があるため、専門家に任せることが効率的ですが、専門家に任せっぱなしにしない点も重要です。

 

1.デュー・ディリジェンスとは

デュー・ディリジェンス(以下、DD)とは、買い手が買収判断をするために行う詳細調査を指します。買収調査は買い手自身が行うこともありますが、専門性が求められるため外部専門家(関連する専門家は次項参照。)に依頼することが一般的です。

 

M&Aの対象である企業は資産・負債・人材・契約関係・その他無形資産などが複雑に一体化しているため、買い手において事前の十分な実態把握が不可欠です。M&A独自の気付きポイントもあるため、DD経験の豊富な専門家に依頼すると安心です。

 

2.DDの種類と概要

代表的なDDとして財務DD(会計DD)、税務DD、法務DD、事業DDがあります。案件ごとの特性に応じ、環境DD、ITDD、人事DDを行うケースもあります。

 

重点調査項目や調査の深さは、案件の特性などを踏まえて買い手が各専門家と会話をしながら判断します。売り手側は受け身で協力する形になります。実務的にはDD方針を事前に売り手と調整することも重要で、こうすることで不安の少ない安定したDDを目指すことが可能となります。

 

3.DDを実施するタイミングと進め方

DDは、基本合意書の締結後、最終契約の前に実施します。

DDの手法は一つではなく、①資料閲覧、②書面Q&A、③インタビュー、④現地視察があります。通常は以下の流れで進みます。インタビューや現地視察はいきなり行わず、ある程度買い手側の情報把握や分析が進んだ段階で実施するとより有意義です。

 

(買い手)依頼資料リストの作成・提出

⇒(売り手)資料準備・資料開示

⇒(買い手)書面Q&A実施(質問)

⇒(売り手)書面Q&A対応(回答)

⇒(買い手)インタビュー実施要請、現地視察要請

⇒(売り手)日程調整、インタビュー実施、現地視察

⇒(買い手内部)DD報告会の実施・発見事項の網羅的な把握

⇒(買い手内部)発見事項に対する対応方針の検討

 

DDで問題なければ最終契約となりますが、何の問題も発見されないDDは実務上存在しません。買い手側では発見された問題をどう扱うかの判断が必要です。

 

4.買い手の留意点・・・「なんとなくDD」・「やりっぱなしDD」・「石橋叩き」

 

なんとなくDD

DDの際には何の目的で何を調べるか、どの位の期間が必要か、ある程度買い手側で目途を付けておくことで終わりなきDDを避けられます。調査項目の強弱や期限を設けずに進める「なんとなくDD」では重箱の隅をつつくことに時間と労力を費やすなど、工数ばかりが増えることになります。

 

やりっぱなしDD

DD発見事項に対する対処方法は何パターンかに分かれます。M&A条件に反映させるか否か、M&A後の改善項目とするか否かなど、整理の上で買収判断に織り込むことになります。経験上はDD報告会が終わると皆がホッとし、終わった感が出ます。ここで終わると、発見事項を消化しきらずに尻切れトンボとなる「やりっぱなしDD」になりやすいです。

 

石橋叩き

DDは課題を見つけて買収リスクを回避するチェック的な調査です。良いところを見つけるというよりは、粗探し的な要素が強めで、「石橋叩き」になりやすい面があります。人と同じように企業にも良い面もあれば課題もあります。課題は課題として把握しつつ、良い面や全体感にも目を配るのが買い手としてバランスのとれた検討です。

DDの専門家は発見事項を列挙するのが仕事ではあるのですが、DD報告を聞いていると問題案件に巻き込まれた気分や雰囲気が押し寄せてきます。意識的にバランスの取れた判断を心がけることが重要です。発見事項として挙げられた対象会社の管理体制に眉をひそめたものの、よくよく考えてみれば買い手自身の管理体制も同様だった。という話は良くあります。

 

5.売り手側の留意点・・・隠さない

売り手は買収対象の重要な情報の全てを買い手に提供する必要があります。

 

きちんとした買い手程きちんとDDを行います。特に専門家が関わったDDでは隠しても見つかります。隠せば突っ込まれて不信感が生まれます。不信感が払しょくできなければ、破談に繋がります。情報開示や説明を通して買い手と信頼関係を構築するのが目指すべき姿です。

 

また、M&Aの売り手は開示情報や回答内容の正確性について責任を負います。買い手の判断を誤らせた場合には賠償責任を負うため、誠実な対応が不可欠です。売り手が売却対象の経営者であるならば当然に企業経営に関する重要な情報は知っています。ですので、過度に不安になる必要はなく、知っていることや心配していることを隠さなければ大丈夫です。

 

6.まとめ

買い手にとって、正確な情報を収集し、将来のリスクを把握するためにDDは欠かせません。専門家に依頼した場合でも、会社の担当者は調査して欲しい重要ポイントやDDの進捗状況について専門家と定期的にコミュニケーションを取り、専門家任せにしない点が重要です。

 

DDの局面では買収リスクに対処したい買い手と手間をかけずに売却したい売り手の立場の違いが生まれます。このような中でDDを進める上で、コミュニケーションと臨機応変なDDのかじ取りが肝となります。

 

 

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