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投稿日 : 2025年6月30日 最終更新日時 : 2025年06月25日

【コラム】ROEとPBRの関係に見る株式市場の評価軸—資本効率が企業価値を左右する

資本効率は企業価値を左右します。本稿ではROEとPBRの関連性を見ながら、資本効率が企業価値に影響を与えている様子を確認します。

 

ROEとPBR

近年、注目を集めている財務指標の一つがROE(自己資本利益率。利益/自己資本)です。これは、企業が株主から預かった資本をいかに効率的に運用して利益を生み出しているかを示す指標です。株式市場では企業価値の重要な判断基準として見られています。

特にROEと密接に連動するのがPBR(株価純資産倍率。株価/1株当たり純資産)です。PBRは時価総額が純資産の何倍かという指標で、1を下回ると純資産価値以下の評価ということになります。

 

ROEとPBRの関係性・・・地方銀行業界を例に見ると

資本効率を軸とした市場評価の視点から、ROEとPBRの関係性を見ていきます。

例として、業界内に上場企業が多い地方銀行業界を見てみます。各銀行のROEとPBRをプロットするとROEがPBRに影響を与えている様子が確認できます(下図)。

成熟したビジネスモデルを有する地方銀行業界においては、成長余地よりも既存資本でいかに効率的に収益を生むかが資本効率に直結します。近年の超低金利の金融環境では資産運用による利益(利ザヤ)が取りにくく、銀行の収益が圧迫される結果、資本効率が抑制されています。このような環境下においても、ROEが企業評価・PBRに影響を与えています。

 

ROEとPBRの連動性

ROEとPBRの連動性は銀行業に限られた現象ではありません。製造業、サービス業、小売業など業種を問わず、ROEが高い企業は資本を有効活用していると捉えられ、投資家からの信頼や市場からの高い評価を受ける傾向があります。

反対に、自己資本比率が高くとも、それが十分に収益創出に結びついていない場合にはPBRは押し下げられます。近年ではそういった改善余地にアクティビストが着目する事例も増えています。

 

まとめ

ROEは企業価値に影響を与えており、そのような理由からROEの向上は上場企業における企業価値向上のための重要な戦略の一つとなっています。

非上場企業においてもM&Aや資本調達といった企業価値評価の局面でROEが重要な参考指標となります。ROE向上が企業価値向上のための重要な戦略の一つとなる点は上場企業と同様です。

 

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