投稿日 : 2025年8月31日 最終更新日時 : 2025年08月07日
【コラム】M&Aにおける「良い売り手」とは?買い手が重視する売り手の特徴と信頼構築のポイント
買い手がM&Aを検討する際、M&A対象だけではなく、その売り手も意識します。良い売り手とは買い手との信頼関係を築きながらM&Aを進められる売り手です。本紙ではどのような売り手が買い手と信頼関係を築けるか、具体的なポイントを解説します。
M&Aを検討する際、買い手は対象企業の事業内容や財務状況だけでなく、「売り手の姿勢」も重要な判断材料とします。では、買い手にとって信頼できる「良い売り手」とはどのような存在なのでしょうか?
本コラムでは、M&Aにおける売り手の理想的な姿勢や、買い手との信頼関係を築くための具体的なポイントを解説します。
買い手が求める「良い売り手」の条件は?
M&Aは単なる売買契約ではなく、買い手にとっての重要な経営意思決定です。売り手が高い売却価格を求めるのは自然なことですが、価格交渉だけに固執すると、買い手との信頼関係を損ない、M&A自体が破綻するリスクもあります。
信頼関係を築きながらM&Aを進める「良い売り手」には、以下のような特徴があります。
1.誠実かつ十分な情報開示
● 積極的な開示姿勢:隠し事をせず、買い手が安心できるよう情報を開示します。
● 網羅的な情報提供:財務諸表、契約書、従業員情報、訴訟リスクなど、買い手が企業の状況や企業価値を正しく評価できる情報を正確に提供します。
● 事業の現状と将来の見通しの共有:単なる書類提出ではなく、会社の課題や成長戦略を買い手の視点で説明できると理想的です。
2.売却目的の明確化
● 売却理由の説明:後継者不在、資金繰り、事業環境の変化など、売却の背景を明確に伝えることで買い手の不安を軽減します。
● 課題の共有:社内の課題を率直に伝えることで、買い手はM&A後の対応策を立てやすくなります。
3.建設的な協議姿勢
● 双方向の対話:自社の希望条件を伝えるだけでなく、買い手の事情や制約にも耳を傾ける姿勢が必要です。口と耳の相当を使った対話が重要となります。
● PMI(統合プロセス)への配慮:従業員の処遇、ブランド継承など、M&A後の統合プロセスに協力することで、円滑な移行が可能になります。
4.PMI(統合プロセス)に向けた協力
● M&Aはスタート地点:買い手にとってM&Aはゴールではなく、新たな経営の始まりです。
● 売却後のサポート:事前の情報開示やM&A後の一定期間の支援により、買い手の不安を軽減し、M&Aの成功率を高めます。
5.適切なM&Aアドバイザーの適切な活用
● 専門家のサポート:売り手がすべての対応を自力で行うのは困難です。M&Aアドバイザーの活用により、買い手の安心感も高まります。
● アドバイザー不在のリスク:アドバイザー無しで対応する売り手は、買い手にとって不安要素となります。ひいては取引条件に悪影響を与える可能性もあります。経験上は大手企業や上場企業であってもアドバイザー無しだと不安定になる傾向にあります。
まとめ:売り手への信頼がM&A成功の鍵
M&Aでは、売り手が買い手を選ぶだけでなく、買い手も売り手を見ています。信頼できる売り手との取引は、スムーズで安心感のあるM&A、ひいては好条件での売却にもつながります。
特にM&Aに不慣れな売り手は、専門のM&Aアドバイザーを活用することで、買い手との信頼関係を築きやすくなります。
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