シニア人口の増加に伴い介護事業の社会的な重要性は更に増すと予想されます。現在も引き続き事業参入・事業拡大を目的とした介護事業者のM&Aが規模の大小問わず盛んに行われています。

新規事業として参入した大企業の一部においては、選択と集中の結果、他の大企業へ事業譲渡をしてコア事業に回帰する動きも見られます。

地域密着型・労働集約的な事業であるため大手・中小・個人といった様々な事業者が参入している点で特徴的で、M&Aにおいても多様な事業者が多様な買収戦略を持っています。

 

1.高齢者化社会と介護事業

広く報道がなされているの通り、日本の総人口は減少トレンドに入っています。しかし65歳以上の人口はその逆です。急速に増加しています。65歳以上人口は現在約3,600万人ですが、20年後には3,900万人となることが予想されています。総人口の1/3以上が65歳以上となる計算です。

シニア人口の増加によりシニアマーケットの「規模」拡大が予想されます。また、医療技術の向上や生活習慣の変化により健康寿命(日常生活に制限のない期間)は年々伸びる傾向にあり、心身ともに健康で積極的に人生を楽しむシニア、いわゆるアクティブシニアも増加する等、シニアマーケットの「質」の多様化も見られます。

 

 

シニアマーケットに多様化が生じたとしても、依然として健康寿命と平均寿命には差が有ります。その差は全国平均で男性が8.8年、女性が12.4年です(2016年「高齢社会白書」)。アクティブシニアの誕生により介護の問題が消えて無くなる訳では有りません。

また、必要になった場合に介護を依頼したい人として、男性は配偶者に期待する傾向が有りますが、女性は介護サービスを期待する傾向にあるようです(同白書)。未婚や配偶者と離別による一人暮らしシニア世帯の増加も踏まえると、介護サービスは社会的に益々重要な存在となっていくものと思われます。

実際に介護サービスの利用者数・介護保険給付費も年々増加しています。

 

 

 

2.介護市場の拡大

社会的に益々重要になっていく介護ビジネスですが、ニーズの増加に合わせて多くの施設が作られています。有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の定員数は10年前に比べて3倍以上となっています。

また、介護事業は地域密着型・労働集約的な事業であるため大手・中小・個人といった様々な事業者が参入している点で特徴的です。

 

3.介護事業者のM&A

引き続き事業参入・事業拡大を目的としたM&Aが規模の大小問わず盛んに行われています。

新規事業として参入した大企業の一部においては選択と集中の結果、他の大企業への事業譲渡・コア事業への回帰の動きも見られます。撤退という言い方もできますが、株主・投資家目線では事業ポートフォリオを積極的見直すことのできるガバナンス体制を評価するのがトレンドです。

主な老人ホームのM&A、訪問介護のM&Aは以下の通りです。

 

主なM&A案件

  • 東京建物グループによるSOMPOケアへの東京建物シニアライフサポートの売却
  • 小僧寿しグループによる介護サポートサービスの売却
  • オリックスグループによる大和証券グループへのオリックス・リビングの売却
  • メディカル一光グループによるライフケアの買収
  • ALSOKによるライフの買収
  • ツクイによるアサヒサンクリーンの買収
  • 大和ハウスによるシダーの一部株式取得
  • メディカル・ケア・サービス(学研HDグループ)によるつくしの買収
  • ソラストによる恵の会の買収
  • ケアサービスによるクレアバーグの買収
  • ケア21によるジャパンケアニジュウイチの一部事業の承継
  • 関東サンガによるケアサービスの買収
  • 揚工舎によるアカネケアコンサルトからの事業買収
  • ポラリス(投資ファンド)によるHITOWAホールディングスの買収
  • global bridge HoldingsによるYUANの買収
  • ユニマットリタイアメント・コミュニティによるホームライク湘南の買収
  • 学研ホールディングスによるメディカル・ケア・サービスの買収
  • 積水化学工業によるヘルシーサービスの買収
  • 総合メディカルによるサン・ヴィラの買収 

 

4.介護事業者の買収戦略

他の業界に比べ、多様な事業者がいるため、買収戦略も多様な印象です。

大手事業者は明確な買収方針を持っている傾向にありますが、特徴ある買収方針を持たれている小規模事業者も見られます。

 

買収戦略例 (※具体的な記述を避けています。)

事業者A:介護付老人ホームのみの買収方針(サ高住は対象外)

事業者B:各拠点間の連携を重視。自社拠点の近隣の施設に限定

事業者C:他事業との関係で特定の地域に限定

事業者D:介護-医療の連携を重視

事業者E:介護職員を安定採用できる仕組みの有無を最重視

事業者F:投資に見合った利益が出るかを最重視(但し入居者回転型のビジネスは行わない)

事業者G:営業の観点からはまずは地域を重視

事業者H:利益が出る限りにおいて、投資金額を抑制できる案件が望ましい

事業者I:オーガニックな成長を目指している。介護事業そのものよりは介護事業向きの土地に関心がある

・・・等(大手事業者・上場会社を含む)

 

介護関連事業の買収・売却・ポートフォリオ見直しにご関心おありの企業様は遠慮なくお問い合わせ下さい。

 

※本稿のグラフは内閣府の「高齢社会白書」に基づきます。

 

【スクエアコーポレートアドバイザリー株式会社について】

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