国内のM&A市場は引き続き活況を呈しています。M&A統計によれば、2022年1~3月期の日本企業が関連するM&A件数は1,124件で過去最高となりました。前年同期比5.3%の件数増加です。

 

1.2022年1~3月期のM&A動向

M&A統計によれば、2022年1~3月期の日本企業が関連するM&A件数は1,124件で、過去最高となりました。前年同期比からは57件、5.3%の件数増加です。M&A実務の現場では、大手M&A会社や弁護士事務所が多忙を極めており、水面下で進んでいるM&A案件も多く、当面M&A市場は活況となる見通しです。

種類別の内訳は、「IN-IN」(国内案件)が892社、「IN-OUT」(海外企業の買収)が148社、「OUT-IN」(海外企業による買収)が84社となり、いずれも前年同期を上回っています。

2022年1~3月期における最大のM&Aは、ソニーグループによる米国のゲーム開発会社であるバンジーの買収(4,140億円)、それに次ぐのが横浜ゴムによるスウェーデンの農業機械用タイヤメーカーであるトレルボルグ・ホイール・システムズの買収(2,821億円)です。

【2022年1~3月期の大型案件】


2.大型案件の特徴

ソニーグループはM&Aを積極的に推進

ソニーグループは近年、音楽やゲームなどのエンタテインメント事業を中心に、M&Aを推進しています。ゲーム会社の買収も積極的に進めており、2021年は著名なゲーム開発会社を含め5社を買収しています。主な目的は、プレイステーション向けソフトの開発力の強化です。

ゲーム市場は成長市場であることから海外大手もM&Aに力を入れています。マイクロソフト社は2022年1月に米アクティビジョン・ブリザード社に過去最大の687億ドルを投資すると発表しました。また、同月に米テイクツー・インタラクティブ・ソフトウェア社が、モバイルゲームの米ジンガを127億ドルで買収すると発表しています。その他、米アマゾンややネットフリックスなどの巨大企業がゲーム事業に手を伸ばし始めています。

 

横浜ゴムは海外のタイヤメーカーを買収

横浜ゴムは海外の農業機械用タイヤメーカーを2,000億円以上で買収します。これは同社にとって過去最大のM&Aとなります。

乗用車タイヤは中国や韓国勢との競争が激化しており、安定した収益が見込める産業分野へのシフトを加速させることが狙いです。横浜ゴムは2016年に、オランダの農業用タイヤメーカー、アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)を約1,300億円で買収しました。今回はATG以来の大型買収となります。

「この買収により、農業機械用タイヤのラインアップを増やし、コスト競争力を強化する。」と、横浜ゴムの山石昌孝社長は、記者会見で述べています。

  

3.円安によって海外案件はどうなる?

現在、海外との金融政策の方向性の違いから急激な円安が進んでいます。また、ロシアのウクライナ侵攻を受け、世界経済の先行きは不透明感を増しています。原材料費の高騰など、これまでの事業戦略の見直しを迫られる企業も出ると思われます。

クロージングまでの短期的な為替リスクの回避であればM&Aにおける為替ヘッジ等で技術的に対応できるようにも思われますが、事業全体の採算性や事業戦略の見直しはM&A判断に重要な影響を与えます。これらがどのような影響を与えるのか又は与えないのか、今後のM&A動向に注目しています。

 

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