近年アクティビストファンドが臨時株主総会を要求し、会社経営陣と対立するケースが目立ち始めています。

株主と経営陣の一定の緊張関係は自然なことですが、アクティビストファンドの主張についてはその内容を見るか、動機を見るか、見る角度次第で映り方が全く異なることがあります。

 

1.株主による臨時株主総会の開催請求

近年アクティビストファンドが臨時株主総会を要求し、会社経営陣と対立するケースが目立ち始めています。

その代表例が、大株主から事業分割案の見直しを要求されている東芝です。東芝に限らず、大株主が臨時株主総会を請求するケースが存在します。

 

2.臨時株主総会と定時株主総会の違い

株主が経営陣に意見を言うには、株主総会での質問や会社宛意見書などの他、株主提案をするという手段があります。株主提案は基本的に議決権の100分の1以上、または300個以上を6ヶ月前から引き続き有する株主に認められます。

一方、臨時株主総会を要求する場合は議決権の100分の3以上とハードルが高くなります。臨時株主総会の開催は多数の株主を抱える会社にとっては多大な負担となることが有ります。

いずれにしても、他の株主から賛同が得られる内容でなければ株主の提案は否決されます。

  

3.最近の臨時株主総会の事例

近年では3つの事例が見られます。

 

東芝

東芝は、2022年1月にシンガポールの資産運用会社3Dインベストメント・パートナーズ(3D社)から臨時株主総会の招集を請求されました。東芝を3分割する案に対して反対するというものです。このような事態の背景には会社分割案自体に対する様々な意見に加え、2017年の大型増資の際に物言う株主から資金調達を行ったこともあります。

この臨時株主総会の開催提案の後、東芝は分割案の修正と新たな株主還元策を発表しました。2021年11月に東芝を3つに分割すると発表しましたが、これを2つに修正。さらに今後2年間で3,000億円を株主還元に充てる方針を明らかにしました。

東芝は3月下旬に株主の意向を確認する臨時株主総会を予定しています。臨時株主総会に向け、3D社がどのような動きをするのか注目されます。

 

フェイス

日本コロムビアを傘下にもつフェイスは、2021年12月に米ファンドのRMBキャピタル(RMB)から臨時株主総会の招集請求を受けたと発表しました。RMBは同年6月のフェイスの定時株主総会で日本コロムビアのスピンオフを求める株主提案を出しましたが、フェイスは議題にしませんでした。そこで、RMBは臨時株主総会の招集を請求しました。

フェイスの臨時株主総会は2月18日に行われ、最終的にスピンオフは否決されました。

 

大井電気

大井電気は投資会社であるUnearth International Limitedから大井電気の創業家出身の代表取締役社長の解任と臨時株主総会を要求しました。大井電気が飛躍するための現場の体制を変える必要があるとの理由です。

大井電気の臨時株主総会は2月16日に行われ、最終的に代表取締役社長の解任は否決されました。

 

4.物言う株主と経営陣の対立

資本提供者である株主の資本の論理と企業経営の論理が常に一致するとは限りません。株主と経営陣の緊張関係は自然なことであり、程よい緊張感であれば、むしろ健全と考えられます。

特定の株主による企業価値の向上という美辞麗句の裏に株価引き上げや(市場では売り切れない)株式の一括売却をしたいという一投資家の発想が見え隠れするケースが事態を複雑にしています。物事の是非を主張内容で見るべきか、動機から見るべきか、見る角度次第で映り方が全く異なることがあります。

 

5.まとめ

世界的なカネ余りの中で資金は投資ファンドにも集まりました。

今後の金融環境の変化に伴い株価が軟調となる場合やファンドからの資金引き出し傾向となった場合、パフォーマンス向上や株式の速やかな換金に向け、アクティビストファンドがより積極的な動きを示すことが予想されます。

 

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